名古屋大学 大学院:博士課程教育リーディングプログラム(オールラウンド型)
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PhDプロフェッショナル登龍門 フロンティア・アジアの地平に立つリーダーの養成

目的・理念

解決すべき課題

現在の日本は、バブル経済の崩壊、阪神淡路・東日本と二度にわたる大震災を経て、人類がいまだかつて体験したことのない超高齢社会へと突入していく状況にあります。その日本が再びかつての活力を取り戻すためには、フロンティア・アジアとの共生を通じた製造業の再生という次世代の成長戦略を描き、実現することのできるグローバル・リーダーの存在が不可欠だと考えます。

終身雇用制が崩れ、旧来の大企業も安泰でなくなった日本が新たな成長を実現するには、真の実力を身につけた人材が新しい業種へと移動し、積極的に起業していくことによる産業構造の転換が必要になるでしょう。そのためには、最先端の科学技術やものづくりなどのハードな側面、知的財産権保護・マーケティングなどソフトな側面の双方において教育を進めることが必要となっています。
また、フロンティア・アジアとの連携は、それらの諸国が人権保障と民主政治の実現を促進しつつ持続可能な経済発展を遂げることによって、はじめて可能となるでしょう。それを支援していくことはアジア唯一の先進国・日本の国際的責務でもあります。従ってこれからの教育プログラムは、優秀な日本人を育てるだけでなく、積極的に留学生を受け入れることによって各国の成長を担う優れたリーダーを供給する必要があるでしょう。
本プログラムは、高い専門性とそれを社会において活用する能力を兼ね備えた人材を、日本人・留学生がともに学ぶ環境を通じて養成することを目的としています。

養成すべき人材像

これまでの博士課程教育は、学術分野で活躍するプロフェッサーの養成を主な目的としてきました。本プログラムではこれと異なり、博士号を持ちながら社会の各分野においてリーダーとして実践的に活躍する職業人=「PhDプロフェッショナル」を養成します。

PhDプロフェッショナルとは、健全な批判精神を持つとともに高い見識に立って社会に対する責任を果たすことのできる人材、名古屋大学学術憲章にうたっている「勇気ある知識人」にほかなりません。

(1) コア・スポーク能力

名古屋大学の持つ高い研究力に支えられた高度な専門性をコアとして獲得する一方、それを活用して異分野・異文化の人材とともに国際的に活躍する能力や、コミュニケーション能力・マネジメント能力・自律的問題解決能力などを、付随するスポークとして身に付ける必要があります。
本プログラムでは、これらスポーク能力の養成を通じて、企業(起業も含む)・官公庁・マスコミ・政治・司法・国際機関・NPO・中等教育など、さまざまな分野においてリーダーとして活躍できる人材を養成します。

(2) フロンティア・アジアのリーダー

日本の経済的・文化的成長を維持する一方、世界から期待される指導的役割を果たすためには、中国・韓国などの近隣アジアを超えた領域と連携していく必要があります。本プログラムでは今後の高い成長が期待されるそれらの諸国を、「フロンティア・アジア」と呼ぶことにしました。具体的には以下のような地域が含まれます。

  • ベトナム・カンボジアなど東南アジア
  • インドなど南アジア
  • ウズベキスタンなど中央アジア
  • モンゴルなど北アジア

本プログラムでは、名古屋大学が培ってきたアジア諸国との強い連携に基づいて、この領域で活躍する日本人・留学生の双方を養成します。

博士課程教育リーディングプログラム
(通称・リーディング大学院)

「博士課程教育リーディングプログラム」は、優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進することを目的とした、文部科学省・日本学術振興会の事業です。

採択されたプログラムには、(1) 国内外の優秀な学生が専門分野の枠を超えて切磋琢磨しながら、主体的・独創的に研究を実践するとともに、国内外の多様なセクターからの第一級の教員が密接に研究指導を行う魅力ある環境を提供するものであること、(2) 優秀な学生を広く産学官にわたり活躍するリーダーへと導くため、解決すべき課題に基づき、産・学・官が企画段階から参画した国際性・実践性を備えた研究訓練を実施するものであることなどが求められています。

本プログラムは、このうち「国内外の政財官学界で活躍しグローバル社会を牽引するトップリーダーを養成するため、大学の叡智を結集した、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の専門分野を統合した学位プログラム」である「オールラウンド型」として採択されたものです。